「何だよ、これ…」
「見ての通りだよ」
「っ…」
Demise side静雄
用があって新羅の家に行った。
そこで感じたのはノミ蟲の臭いで、でも普段の臭いと違っていて、俺は新羅が止めるのを押し切ってノミ蟲がいるはずの部屋を開けた。
そこにいたのは俺の知らないアイツだった。
俺の投げた自販機をくらっても平気な顔して切りつけて来やがったくせに、今は点滴を打たれて、酸素マスクを付けられて、青白い顔をしてベッドに寝ている。
「変な薬を使われたみたいでね、殆ど目覚めないんだ。目覚めてもまともに動く体力すら無いよ」
「…」
ベッドから出ている手に筋肉は殆ど付いてない。
元々細ぇやつだと思ってたが、これは異常だ。
「静雄、臨也はもう永くない」
「…」
「だからそっとしておいてあげてくれないかな。最期くらい…」
「勝手な、こと…言わないでよ」
「臨也…ちょっと君何してるのさ!?」
さっきまで寝ていたはずのイザヤは腕に刺さってた点滴用の針を無理矢理引き抜いて俺に向かってくる。
「…」
ナイフが腹に当たる。
それでもやっぱり俺の身体はナイフを通さない。
「…ねよ…死ねよ、化け物!!俺を憐れなモノを見るような目で見るなっ!!」
「…」
何度も何度もイザヤはそう言って俺の腹にナイフを当てる。
そのナイフにはいつもみたいな勢いも力もなくて、握ってるのがやっとだとわかる。
「…」
「はぁっ…はぁ…本当に、嫌な身体だよね…」
ふらふらとまともに立つことすら出来ないイザヤに何を言われても不思議と怒りは沸かなかった。
「新羅、部屋から出てくれねぇか?」
「何言ってるんだい?君達を…」
「新羅、俺からも頼むよ」
「…わかった」
新羅が部屋から出ていくと、イザヤは目を閉じて大きく息を吸い込むと目を開けた。
もうその時には息は整っていて、ふらついてもいなかった。
「…シズちゃん、今日だけは君に感謝するよ」
「本当にもう永くないのか?」
「…ははっ!シズちゃんにそんな事聞かれるとはねぇ…見なよ」
黒いインナーの袖を捲った場所には普通ではあり得ないような痕がかなりの数ある。
「何だよ、ソレ」
「注射痕だよ。簡単に言えば理性を失わせて壊すための薬…それを原液のままかなりの量入れられてね…発狂して壊れなかったのが自分でも不思議だよ」
「…」
「まぁ、それだけじゃないんだけどねぇ…他に聞きたいことは?」
「…ねぇよ」
「そう。じゃぁ始めようか」
どこからか出したナイフを構えてイザヤが言う。
「あぁ」
投げられたナイフを弾いて、振るわれるナイフを避けて、イザヤの首を捕まえて床に叩きつける。
「っ…」
「終わりだ、イザヤ」
「うん…」
2012.08.26
side臨也
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