誰だお前・・・何て言ってんだ・・・・聞こえねえ・・・カケラ・・・・・・・・・七人隊?・・・・待て・・・
お前は一体――――っ
「骨・・・蛮骨・・・・・・蛮骨!!」
「へ・・・・?」
「聞いていたか今の授業」
「いえ全く」
全く悪びれずに答えた蛮骨の頭をパシンッという軽やかな音を立てて教科書で叩いた教員は蛮骨に後で職員室に来るようにと告げ、
授業に戻ろうとした。
しかし、そこでタイミングよく終業のチャイムが鳴り、宿題のページを黒板に書いた後教室を後にした。
ここは県立の男子校。
近くには女子校、共学校があり、この3校は様々な行事を一緒に行っている。
蛮骨と蛇骨は生徒として、睡骨と煉骨は教師としてこの学校に通っている。
蛮骨は暫くの間今見た夢について考えていたが、基本的に考えるという事が苦手なのですぐに止めた。
それから暫くすればまた鐘が鳴り、授業が始まる。
一応教科書とノートを机の上に出しつつも、授業を聞くこともノートを取ることもせずにただただ時間が過ぎ去るのを待ち、授業が終盤
に差し掛かった頃、ガラッという音と共に教室の扉が開いた。
入ってきた人間の格好はセーラー服。
ここは男子校なので本来ならばそんな人間は存在しないし、してはいけない。
しかし、その人間はさも当たり前のように教室に入って来た。
「やっほ〜蛮骨。遊びに来たよ〜」
軽やかな声でセーラー服の人間・・・蛇骨が言う。
「ばーか。また遅刻かよ。もう3時間目だぞ〜」
その声に答える様に笑いながら蛮骨が答える。
「蛇骨、何だその格好は!!ここは男子校だぞ!!正しい制服を着ろと何度も言っているだろうが!!」
「ガクランなんか嫌いなんだよバーカ」
声を荒げた初老の教員など全く興味が無いというように答えた蛇骨の言葉に教師がキレた。
「蛇骨!!」
「何だよ。それより授業やらなくていいの?」
「ち・・・蛇骨、後で職員室に来るように」
蛇骨がどんなに傍若無人な態度を取りつつも、正論を言われてしまえばどうしようもなくなる。
学校とは教育の場であり、教育が最優先される場所なのだ。
苛立ちながら言われた言葉にとりあえず口だけの軽い返事をし、蛇骨は自分の席についた。
「うるさいよなーあいつ。そう思うだろ蛮」
「まあな」
休み時間に蛮骨の机に座り、足をブラブラさせながら喋る蛇骨に蛮骨は答える。
「本当にウザイよ」
「お前のその格好に問題があるんじゃねえのか?」
「え〜、蛮だってパーカーじゃん」
はいているスカートの裾を引っ張りながら言う蛇骨に苦笑しながら蛮骨はそうだなとだけ言った。
「それに俺留年2回もしてるから今更なぁ・・・」
「今年こそは上がれよ。でなきゃ俺より学年が下になっちまうぞ〜」
からかう様に言った蛮骨の言葉に蛇骨は嫌そうな顔をする。
1年目は単純に出席日数不足で留年した。
2年目は煉骨に言われて途中までは意外と真面目に出席していた。
しかし、途中で後1年留年すれば蛮骨と同じ学年になると気付いてしまった。
その後は全く授業に出席せず、2年目も留年した。
そして現在は蛮骨と同じ学年、クラスで授業を受けている。
「そうだな〜。じゃあ頑張ろう」
留年自体に問題は感じないが、蛮骨とクラスが違ってしまうというのは蛇骨にとって学校に来る意味をなくすという事で、2年間
留年した意味も無くなってしまう。
「おお。お互いがんばろうぜ」
「そうだな」
そんな話をしているうちに休み時間が終わり、授業開始のチャイムが鳴る。
その後蛇骨は彼にしては真面目に授業を受けた。
「あ、ジャコ。あなただけですよ、課題のプリント出していないのは。期限は昨日なんですよ」
放課後に教室で談笑していた蛮骨と蛇骨の元にクラス学級委員の弥勒が来て言う。
「あーぁ。弥勒ももう少し可愛げがあったら相手にするのになー」
弥勒を見ながら返答になっていない返答を反す蛇骨を軽くあしらいながら弥勒は手早く用件を伝える。
「関口がまた俺を呼んでるのかぁ・・・」
「その格好のせいですよ。何でセーラー服なんです?」
「俺は女なんでーす。心も、身体も」
「身体は男だろう」
スカートの裾を少しだけ持ち上げて言う蛇骨に蛮骨が素早く突っ込みを入れる。
「なんだよ〜蛮、羨ましいのか・・・?」
「はぁ?そんな訳ねぇだろ」
馬鹿なことを言うなと顔をしかめる蛮骨をよそに蛇骨は何も入っていないに等しい鞄を持ち、席を立った。
「そんな事より蛮、犬夜叉のとこに行こう」
瞳をキラキラと輝かせて言う蛇骨に蛮骨は溜息をつく。
「俺は犬夜叉に興味はない」
「え、男には興味あるの?」
「無い!!」
力一杯否定した蛮骨を無視しして完全に自分の世界に入っている蛇骨は頼んでもいないのに犬夜叉との出会いを語りだす。
「はぁ・・・またですか。自分の世界に入るのは構わないんですけど、課題のプリントの提出はいつになるんですかね?」
「白紙で良いなら机の中に入ってるぜ」
「・・・白紙じゃ困ります」
蛇骨の代わりに答えた蛮骨の言葉にガックリと肩を落とした弥勒の肩を蛮骨はポンッと叩き、言った。
「頑張れ、学級委員」
その言葉に弥勒は大きな溜息をついた。
「はあ・・・犬夜叉・・・・うん、犬夜叉に会いに行く!!」
自分の世界にトリップしていた蛇骨が何の脈絡も無くそう言って席から立ち上がる。
「まぁ、頑張れよ」
暗に自分は行かないと言った蛮骨の腕を蛇骨が掴む。
「蛮も」
「!?」
蛮骨が何か言うよりも早く蛇骨は蛮骨の腕を掴んだまま廊下を走っていた。
「毎日毎日ジャコもよくやりますね。犬夜叉にはかごめさんがいるのに。それにしても・・・ジャコは課題は出さないつもり
なんでしょうか・・・」
2人が去った教室で弥勒が一人呟いた。
「犬夜叉〜!!あいかわらず可愛いな」
「気色悪いんだよてめえ。離れろ!!」
「え〜。こんなに犬夜叉の事が好きなのに〜」
「は?てめえ馬鹿じゃねえか?とにかく離れろ!!」
「俺はまともで〜す」
「まともじゃねぇだろうがっ!!」
毎度毎度繰り返される光景をを彼らのパートナーであるかごめと蛮骨は少し離れた位置で見ていた。
最初こそ慣れなかったが、似たような苦労を持つ者同士相性がいいのか、それともただ単に巻き込まれるのが嫌で離れてはいるものの
暇なのか、かごめと蛮骨はこうして犬夜叉と蛇骨の2人が一緒にいる間は遠巻きにそれを眺めながら話をすることが多かった。
『七人隊の首領、蛮骨』という記憶がかごめにはしっかりとあるので完全に気を許してはいけないとは思っているが、蛮骨は普段は
大人しく、話も普通にするし、意外と苦労性で、かごめは特に怖いと思っていなかった。
本日も毎度のごとく放課後に犬夜叉とかごめが通う学校まで蛇骨(と蛮骨)が押しかけて来て、逃げたのだが、ついに公園で
捕まってしまった。
蛇骨が押しかけてくるというのが犬夜叉とかごめの悩みの種の1つだったが、今では半分諦めていた。
公園のベンチに腰掛けて、自販機で買ったジュースを飲むかごめの横には同じように蛮骨が座ってジュースを飲んでいる。
なにやら口論をしているらしい犬夜叉と蛇骨を見ながら蛮骨が笑う。
それを横目で見たかごめが視線を犬夜叉達の方に向ければ視界に入った光景に笑ってしまった。
日は傾き、世界は赤に染まっていた。
これが日常
初出2003,5,28
修正2009,10,04
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