桜の木の根元には屍が埋まっている

桜はその屍の血を吸って綺麗な色に染まる

血で自分を染め上げる

まるで血化粧のように


「また桜の季節がやってきましたね」

「・・・」

カリッ

「何度見ても桜は綺麗だと感じさせられますよ。君には桜は嫌な思い出となってしまっているかもしれませんが」

「・・・」

カリッ

「クフフ、君と僕が最初に戦った場所・・・黒曜ヘルシーランドにあった桜も綺麗でしたね」

「・・・」

カリッ

「あれは僕の力で作った幻でしたが、精巧に出来ていて綺麗だったでしょう?まぁ、その桜のせいで君は負けたんですから、 桜が嫌いになるという気持ちもわかりますけど」

「・・・」

カリッ

「だんまり・・・ですか?何か話してくださいよ。僕が独り言を呟いている変な奴みたいじゃないですか。それに、 随分と退屈です」

「・・・」

カリッ

「はぁ・・・。雲雀君、この桜は今まで見てきた中でも一段と立派で美しいと思いませんか?」

「・・・」

カリッ

「堂々としていて、美しくて、魅了される」

「・・・」

カリッ

「クフフ、ロマンチストになるつもりはないんですけどね。それでもこの桜は美しいと思わされます。確かに木が植えられてから 長い年月が経っていますが、それでもここまで見事に咲くのは珍しいんですよ」

「・・・」

カリッ

「僕は気の遠くなるような回数の生を重ねてきましたが、これほど立派な物を見るのは本当に初めてです。魅せられ、 惹きつけられる」

「・・・」

カリッ

「そう、この桜は君のようです」

「・・・」

カリッ

「強く、気高く、美しい」

「・・・」

カリッ

「獰猛で残虐。誰にも懐かず、孤高な獣。故に、純粋」

「・・・」

カリッ

「人を惹きつけ、魅了し、堕落させる」

「・・・」

カリッ

「あぁ、違いましたね」

「・・・」

ガリッ

カチャッ

「この桜は君自身でしたね、雲雀君」


ドスッ

『ぐっ・・・』

『君が好きですよ、雲雀君。でも君は僕のような能力は無い。だから次に再会できるのはいつかわからない』

『ろく・・・ど・・・』

『だから桜となって何年も何十年も何百年先にも生き続けてください。次の僕の傍にもいてください。桜として』

『・・・』

『愛していますよ、雲雀恭弥』


「君は約束を守ってこの桜の下に存在し、血肉を与えて見事な花を咲かせてくれたんですね」

「・・・」

カチャッ

「あぁ、雲雀君、雲雀君。君はこの桜となって未来永劫生き続けるんですね。前の僕が与えた死と生によって」

「・・・」

カチャッ

「愛していますよ、雲雀君。たとえ君の頬がこげ、肉が腐り、骨だけの存在になり、最後に桜となっても・・・ね」


Confusione di albero Ciliegio 〜桜狂い〜



2008.04.07