祝、Sakura Addition 発売
『あるがままの姿で、なすがままの心で、生きてゆく僕の邪魔しないで。これ以上僕に近づくなよ・・・』
「やっと終わりか。意外と長かったね」
雲雀が骸とのデュエット曲である【Sakura addition】の録音の後、自分の曲である【ひとりぼっちの運命】の録音を終えて帰ろうと
廊下を歩き始める。
共に【Sakura addition】の録音を終えた後、骸は雲雀の斜め前の録音室で自分の曲を録音する事になっていた。
雲雀のいる録音スタジオは少しかわった作りをしており、一番広い廊下から防音ガラスを挟んで左右の録音室が見えるように
なっている。
部屋の入り口は廊下とは反対側に面しているので入り口側から中の光景を見ることは出来ない。
雲雀は一旦録音室から出た後、【Sakura addition】のカラオケ曲録音の為に少しの間隣の簡単な控え室のような所で休む事に
なっていた。
その部屋のソファーに腰を下ろし、目を瞑ると何故かスピーカーから骸の歌声が聞こえてきた。
『クフフ、クフフ、クフフのフ〜。躍らせてあげますよ、霧のカルネバーレ。純粋で美しい世界になれば、
操られた君は僕と永遠のサンバ〜』
「っ・・・」
骸の曲に耐えられなくなった雲雀はソファーから勢い良く起き上がると廊下に出て骸の収録室のガラスを破壊し、侵入した。
「!?おやおや、雲雀恭弥じゃないですか。僕の歌をそんなに近くで聞きたかったんですか?」
雲雀の登場に骸は少し驚いたが、直ぐにいつもの余裕たっぷりの笑みを湛えながら言った。
雲雀が侵入した際に何らかの機械を壊したらしく、録音室内にはサンバ調の音楽が流れている。
「君の下手な歌は並盛の風紀を乱すんだよ」
トンファーを構えながら雲雀が言う。
「僕の歌のどこが下手なんですか?大体君の歌こそなんです?君のキャラじゃありませんよ」
骸も負けじと言い返す。
聞かれていたとは思っていなかった雲雀だが、この際そんな事はどうでもよかった。
「その曲は君にお似合いの変態の歌だね。そんな歌の販売を許可するわけにはいかないよ。並盛の風紀が乱れる」
「並盛、並盛煩いですよ。僕の素晴らしい歌に嫉妬してるのはわかりますけどね」
「変態パイナップルが何をほざいてるの?」
「パイナっ・・・クフフ、禁句を言いましたね」
「あぁ、やっぱり気にしてたの。そのパイナップル」
ニヤリと笑う雲雀に骸は殺意が湧き上がったのを感じた。
「雲雀恭弥、今日こそ殺してあげます」
骸は自分を落ち着かせ、三叉槍を出現させ、構える。
「面白いね。その前に僕が咬み殺してあげるよ」
雲雀もトンファーから仕込み鉤を出し、構えた。
「失礼します。ここでヒバリさんと骸が録音やってるってき・・・」
「おや、ボンゴレじゃないですか」
「沢田綱吉?何してるの?」
意外な訪問客に話しかけながらも骸と雲雀の攻撃の手は止まない。
「キャラソン第二段の録音の打ち合わせに・・・」
現在の光景を引きつた顔で見ながらツナが答えた。
「それは奇遇ですね。丁度録音してたんですよ。そうしたら雲雀恭弥が突然ガラスを割って侵入してきたんです」
「これをヒバリさんが!?これって防音ガラスっていう結構厚いガラスじゃ・・・」
「普通のガラスと大差なかったよ」
「ぇ、何か欠片が分厚いんですけど?」
ガラス片を見ながらツナが恐怖を感じつつ言うが、雲雀は何でもないように言った。
「気のせいだよ」
「はぁ」
感心していいのか、そうでないのかよくわからないが、兎に角ここから離れたいとツナはドアを開けようとするが、
それを見透かしたように骸の声が掛かる。
「雲雀恭弥ってば乱暴だと思いませんか?そうだ!ここで聞いていってくださいよ、僕の歌」
「ぇ、俺打ち合わせがあるんだけど(こんな所にいたくないし)」
何とか逃げようとするツナだが、骸には通じない。
「いいじゃないですか。雲雀恭弥、君はもういなくて良いです」
「何ふざけた事言ってるの?君がその変態の歌を止めない限り僕は引かないよ」
「僕とボンゴレの仲を裂こうだなんて無粋ですね」
「は?パイナップルごときが何を言ってるの?」
イマイチかみ合っていない会話でもお互いは大して気にしていないらしい。
「あの、ちょっと2人とも落ち着いて・・・」
ツナの静止も天上天下唯我独尊の2人には届かない。
「大体君はいつも目障りなんですよ!!」
「ワォ、奇遇だね。僕も君が目障りで仕方が無いよ」
「ボンゴレと同じ学校だからっていい気になって、本当にイラつきますね」
「君が何を言いたいのか良くわからないけど、君はここで咬み殺される」
「クフフ、丁度良いです。君をここで倒し、歌通りにボンゴレを手中に収めます」
「歌通り?ぁ、これかな・・・!!?」
骸の言葉に多少疑問を持ったツナが雲雀と骸によって破壊された室内にいる自分の足元にある一枚の紙を拾い上げ、読んだ。
「覚悟・・・」
「骸」
覚悟しなさいという骸の言葉はツナによって遮られた。
「何です?」
「この曲・・・」
骸の曲が書かれた紙をツナが見せる。
「あぁ。それは僕の野望です。直ぐに実現させて、僕とサンバを踊りましょうね」
「・・・」
骸はツナにニッコリと笑うと雲雀に向き直った。
こくんっ
ボッ
急激に変わった室内の気配に嫌なものを感じながら骸がツナを振り返った。
「ボンゴレ?」
「骸、お前のすきにさせたら・・・死んでも死にきれねぇ!!」
「っ・・・」
「またお前のどす黒い闘気を浄化してやる。覚悟しろ」
そこにはパイパーモードとなったツナがいた。
ハイパーモードとなったツナに骸は勝つことは出来ず、グチャグチャに破壊された室内には意識を失った骸と不機嫌な雲雀だけが
残った。
2007,11,12
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