ししおどしが鳴ったとほぼ同時に、襖が勢いよく開かれた。

「雲雀君、久しぶりで…ぇ?」

「六道…骸…咬み殺す」

骸の目的とする人物はおらず、そこにはその人物の10年前の姿の存在がいた。

その存在、雲雀が瞬時にトンファーを取り出し、骸へと向かってくる。

「ちょっと待ってください!ひば…」

ガッ


10年越しの真実


「何で中学生の君がここにいるんです?」

雲雀から随分と離れた位置に正座しながら骸が訊ねる。

雲雀はそんな骸を一瞥し、言った。

「ここはこの時代の僕のアジトだよ。君こそ何でここに来たの?」

「この時代の君に用があって来たんですよ。なのに、肝心の君が入れ替わってるなんて」

「用なら僕が聞くよ」

「いいえ、君では駄目です。この時代の君でないと意味がありません」

雲雀は少し怪訝な顔をしたものの、不本意ではありつつも、この時代の自身と骸が何らかの協力関係であることはリボーンから 聞いている為、何かの作戦の内容であると結論づけ、それ以上は追求することは止めた。

その変わりに口の端を上げ、ニヤリと笑い、骸を見た。

「ふぅん。じゃぁ、君の用は終わり。今度は僕の番だね」

「?何か僕に用があるんですか?」

「うん」

ジャキッ

「…」

「君を、咬み殺す」

鉤まで出し、完全に殺る気を出している雲雀を見て骸はため息を1つつく。

「今も結構好戦的ですけど、10年前の方がかなり酷いですね。大体、僕と戦う為の何の理由があるんです?」

「君が六道骸だから」

「存在そのものですか」

「後、不法侵入」

「それは謝ります」

「別に謝らなくても良いよ。君をグチャグチャに咬み殺して終わりだから」

雲雀に引く気配など全く無く、骸に対して殺気を放つ。

骸は何を言っても無駄だと判りきっているため、三叉槍を構えた。

その瞬間に雲雀は動き、躊躇すること無く骸の脚を薙ぎ払おうとする。

骸はそれを避け、雲雀の頚動脈を狙って槍を振るう。

「流石に簡単にやられるわけにはいきませんよ」

「へぇ」

暫く攻防戦が続き、2人が一旦距離を取る。

「…」

「…」

一呼吸後、2人は示し合わせたように同時に動き、互いの武器がぶつかり合う甲高い音が宙に響く。

「時に雲雀君、君は跳ね馬にリングと炎について教わったんですよね?」

「そうだけど?」

「そうですか」

骸はその言葉を聞くと三叉槍を一閃し、雲雀を吹き飛ばした。

「っ…」

「気に入りませんね…君が生き残ったのが跳ね馬のおかげだというのが」

「ちょっと、ふざけた事言わないでよ。僕は僕の力で…」

「確かに、勝ったのは君の力かもしれません。しかし、勝つ術を教えたのは跳ね馬です」

「…」

骸の言葉に雲雀は反論できず、不愉快そうに骸を睨み付ける。

「君は…おやおや、そろそろ時間切れですね」

「逃げる気?」

「不本意ですが、戻ります。そろそろ限界だ」

「待ちなよ」

雲雀の側をすり抜けるように骸は雲雀から距離を取り、いつの間にか机の上にあった箱をスッと指差し、言った。

「その箱はこの時代の君のものです。興味があるなら開けてみると良い。君も雲雀恭弥であることに変わりはないんですから」

「六道…」

言うだけ言うと、骸はその場から溶けるように消えた。


「指輪?跳ね馬が言っていたリングと炎のやつ?」

雲雀が箱の中身を見ると、リングが1つ入っていた。

しかし、それは雲雀には普通のリングに見える。

「?」

暫く眺めていると、リングの裏側に何か彫ってあるのを見つけ、読もうとするが、雲雀には読めない文字だった。

「普通のリングみたいだね」

元々対してリングに興味の無い雲雀はそれを箱に戻し、机の上に置いた。

雲雀がリングの裏側に彫られている文字を理解し、骸を締め上げるのは10年後の話。



2009.05.06