「僕が・・・殺した・・・。彼を・・・カヲル君を・・・」


Neo


バキッ

初号機を伝わって感じる感覚。

初号機を伝わって聞こえる音。

初号機から見える光景。

彼の・・・渚カヲル君の死。

彼の首が落ちていくのがまるでスローモーションのように感じられた。

バシャン

水に波紋が広がる。

初号機についた血。

水に落ちた彼の首。

初号機の手の中にいる彼。

だけど、彼はもうどこにも存在しない。

僕の中で何かが壊れた。


『後悔してるのね』

「後悔・・・?」

『彼を・・・渚カヲルという存在を消してしまった事に対して』

「してないよ!・・・違う。しちゃいけないんだ。だって彼は使徒だったんだ!僕ら人類の敵!
 ・・・使徒・・・だったんだ・・・・」

『後悔してるのね』

「してないって言ってるだろ!」

『嘘』

「嘘じゃない!嘘じゃない!」

『嘘。私にはわかるわ』

「五月蝿い!綾波に何がわかるって言うんだ!」

『そう。人は決して他の存在の全てを知ることは出来ないわ。だから人はもがくの。
 彼もそう。そして、貴方も。
 貴方は彼に何を感じたの?何を見たの?何を怖れるの?何を信じるの?』

「五月蝿い!」

『碇司令の、葛城三佐の命令だから彼を殺したの?』

「・・・」

『命令されなければ殺さなかった?』

「・・・」

『何故・・・答えないの?』

「カヲル君は敵だ!使徒なんだ!だから殺さなきゃいけなかったんだ!僕達人類の為に!」

『そう。彼は使徒。神の使者』

「そうだ!だから殺さなきゃいけなかった!僕は間違ってなんかいない!」

『使徒タブリス。フィフスチルドレン。渚カヲル。彼は全て』

「全て・・・」

『貴方の中の彼はどれ?』

「カヲル君は・・・カヲル君だよ」

『渚カヲル。貴方と同じ呪われた子供』

「彼は使徒だ」

『そう。でも貴方は一瞬でも彼の存在を許したでしょ?彼を友達だと思ったのでしょ?』

「友達・・・」


【僕はカヲル。渚カヲル】

【カヲルでいいよ、碇君】

【怖いのかい?】

【僕は君に会うために生まれてきたのかもしれない】

【生と死は同価値なんだよ、僕にとってはね】

【さぁ、僕を殺してくれ】




「友達だと思った・・・。だけど彼は僕を裏切った!友達だって言ったのに!」

『ほら。貴方は彼を大切だと思ってる』

「違う・・・」

『碇君にとって渚カヲルという存在は大切な存在なの』

「違う!」

『彼にとってもそう。碇シンジという存在は大切な存在。
 だから彼は自らの死を願った。
 そして貴方に殺される事を望んだ』

「違う!」

『怖いのね。何かに向き合うのが』

「違う・・・」

『だから逃げるのね』

「違う!違う!違う!」

『だから逃げた。渚カヲルという存在から』

「違う!」

『逃げたのよ、貴方は』

「違うっ!」


逃げたのかもしれない。

分からない。

僕はどうすればいい?

誰か、誰か教えてよ・・・・

父さん、ミサトさん、アスカ、トウジ、ケンスケ、リツコさん・・・カヲル・・・君・・・。


『君は何も間違ってなどいないよ』

「カヲル・・・君・・・?そんな、君は僕が殺したはずじゃ・・・」

『そう。僕は死んだ。初号機によって』

「僕が・・・殺したんだ」

『シンジ君、君が罪悪感を感じる事は無い。これは僕が望んだことなのだから』

「望んだ・・・?」

『そうだよ、シンジ君』

「分からないよ!何も分からないよ、カヲル君っ!」

『何も恐れることは無いよ。ここでは全てが君に優しいから』

「どういう事?」

『人類補完計画』

「補完・・・計画・・・?」

『知らなかったのかい?これがゼーレのシナリオなんだよ。人間を補完してそれぞれに欠けているものを補う』

「補う・・・?」

『そうだよ。でも、ゼーレのシナリオ通りにはならない』

「何で・・・?」

『君・・・碇シンジという存在がここにいるから』

「え・・・」

『人類全てを平等にする。欠けているものを補って幸せにする。ここにいるんだよ、みんな』

「誰も・・・いないよ・・・?」

『そう。眼に見えないだけ』

「綾波っ!」

『全ては平等に。そしてひとつになったの』

「ひとつ・・・?」

スッ

「誰もいないじゃないか」

『いいえ、いるわ。ただ、人間としての姿を保っていられなくなったの。補完されたから』

「何言ってるんだよ、綾波!ねえカヲル君、説明してよ!僕には意味が分からないよ!」

『・・・』

「何で黙ってるの・・・?答えてよ!何か言ってよ!カヲル君っ!!」

『本当の事だよ。ここに全ての人間はイル。ただ、人の形をしていないだけだよ」

「そんな・・・バカな・・・」

『本当よ』

「じゃあ何で!何で僕がココにいるんだ!補完されたんだろ、人類は!僕だけ補完されなかったとでも言うのか!」

『少し・・・違うよ、シンジ君」

「え・・・」

『君も補完された』

「嘘だ!」

『嘘じゃないわ』

「嘘だ!嘘だ!嘘だ!嘘だ!嘘だっ!」

『嘘じゃない』

「ここには僕がいる。綾波もいる。カヲル君もいる」

『ええ、いるわ』

「なら、人類の補完なんて有り得ない!」

『シンジ君、思い出すんだ。僕はすでに死んでる。そして、彼女は人であって人じゃない。
 君はあの時地下でそれを知っただろう?』


【綾波の部屋に似てる】

【綾波レイの部屋よ】

【ただのイレモノ】

【うふふふふ・・・】


「・・・」

『知っているだろう?君も』

「じゃあ何・・・ココはナニ!僕はナニ!」

『貴方は碇シンジ』

『そしてここは君の心の中に近い所』

「僕の・・・心?」

『そう。碇シンジという存在の心』

『今現在唯一形を保っているであろう人間の心」

「わからない」

『ここは貴方の心に近いの。人類が補完されても、貴方だけは完全に補完されなかった』

「何故・・・?」

『・・・』

『彼女の意思さ』

「綾波の?」

『だから君が選べばいい。このままココで補完されて全てひとつになって欠けた部分を補うのか。
 それとも傷つく事もあるであろう存在の世界に戻るのか?』

『貴方が決めればいいわ』

「戻るよ。だってココには僕が存在していないんだもの」

『選んだんだね』

「うん」

『じゃあ、さよならだ、シンジ君』

「カヲル君?」

『僕は君達と共にはいけないよ』

「カヲル君!」

『君は選んだんだ。だから、決めた道を進まなきゃいけないんだよ』

「カヲル君!」

『何も怖れることはないよ、シンジ君』

「・・・」

『さよなら、シンジくん、ファーストチルドレン・・・いや、    』

「えっ・・・」


「ここは・・・・!ミサトさん!アスカ!リツコさん!父さん!母さん!綾波!カヲル・・・君・・・」

「おかえりなさい」

「!」

「おかえりなさい」

「・・・ただいま・・・」






後書き
意味不明でごめんなさい。
映画とTVの25、26話を足して割った感じです。
映画の『序』にカヲル君出るらしいですね。
カヲル君が沢山出るのなら見たい。
2007,09,01