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5月4日。
それは俺達が生まれた日だ。
正直俺は誕生日なんてどうでもいいと思ってる。
人間は数秒に1人の割合でどこかで生まれてるんだから、いくら人間を愛してる俺でも祝いきれない。
でも、この日だけは特別だ。
俺の誕生日だからじゃない。
愛しい愛しい甘楽の誕生日だから。
С Днем Рождения Izaya Side甘楽
「甘~楽、プレゼント」
「ありがと。これは私から」
「ありがと」
甘楽に小さな包みを渡せば、甘楽も俺に包みをくれる。
これが毎年の決まり事。
どちらかが言い出したわけじゃない。
暗黙の了解で俺達はお互いを祝う。
甘楽から貰った包みを開ければ、そこに入っていたのは指輪。
「甘楽…これは俺と結婚するととっていいのかなぁ?」
「そんなわけないでしょ。臨也のお気に入りの指輪が静雄に壊されたから、その 代わり」
「そうなんだ」
確かにこの間俺がいつもしている指輪がシズちゃんに壊された。
それには少し思い入れがあったから壊されたのは不愉快だったんだけど、甘楽が 代わりをくれた今ではシズちゃんに壊してくれて有難うと感謝したいくらいだ。
不愉快だけど。
「臨也?」
「嬉しいけどコレ使えないなぁ。甘楽から貰った物をシズちゃんに壊されたくな いしさ」
「使わないと意味ないから。壊されたらまた買えばいいし」
「そうだけどね」
某ブランドの十数万する指輪も甘楽にとっては何ということはない。
甘楽も俺もブランド名には拘らないし、十数万くらいで一々驚かない。
でも俺は甘楽がくれるのなら100円のイミテーションの指輪でも喜んでつける。
使い古された純愛小説の一節のように。
「臨也は何くれたの?」
「開けてみなよ」
「ブレスレット?」
「そう。甘楽に似合うと思ってさ」
「ふ~ん」
甘楽が眺めているブレスレットは甘楽の指輪と同じで地ピンクゴールドで、ガー ネットがついている。
勿論ガーネットは本物だ。
「気に入らなかった?」
「気に入ったよ。ただ、コレにどういう意味が込められてるのかと思ってね」
「…」
「ガーネットは1月の誕生石。5月生まれの私達にはふさわしくない」
「紅は俺達の瞳の色だからガーネットを選んだだけだよ」
「ふぅん…」
「…」
「…はぁ。甘楽にはかなわないなぁ。ブレスレットは束縛アイテムの1つなんだよ 」
「束縛アイテム?」
俺がそう言えば甘楽は訝しげに俺を見てくる。
「そう。ブレスレットは手錠を模してるんだよ」
「相変わらず女子中高生みたいなこと知ってるね」
「情報屋だからね」
「…手錠なんかで繋がれるのは不愉快だけど、これは気に入ったよ」
「普段使いにでもしてよ」
「考えとく」
そう言った次の日、甘楽の腕にはブレスレットがあった。
2011.05.04