バレンタインデー
「ただいま〜」
「あ、かごめちゃんだ」
「かごめ、今回は早かったのぉ」
「今日はバレンタインだしね」
かごめは大きな荷物をよいしょと地面に置きながら珊瑚と七宝に答えた。
「バレン…タイン?」
と珊瑚の頭に?がうかんだが
「気にしない、気にしない」
とかごめはあっさりとながした。
「あ、お土産持って来たよ。はい、これ」
とかごめはガサガサと荷物の中から取り出したものを七宝と珊瑚と弥勒に渡した。
「おお、干し芋ではありませんか」
「珊瑚ちゃんはこれ」
「有難う」
「七宝ちゃんには飴」
「おお、動くやつじゃな」
「で、これは皆に」
と言ってかごめはさらに何かを取出した。
「かごめちゃん、それ何?」
「チョコレ−トよ」
「ちょこれいととは一体何じゃ?」
という七宝の質問に「甘くて美味しいお菓子」
とかごめは答えた。
「なんじゃと!かごめ、オラにくれ」
いいわよ。というとかごめは【チルルチョコレ−ト】と書かれた袋からチョコを取り出して
チョコを渡した。
「美味い、美味いぞ、コレ」
と言いながら七宝はバクバクとチョコレートを食べている。
「本当、美味しいね」
「不思議な味ですが、美味しいです」
「ミ〜」
と珊瑚と弥勒と雲母も答える。
「気に入ったみたいでよかった」
かごめが満足していると
「お、かごめじゃねえか。早かったな」
と言いながら犬夜叉が現れた。
「うん。まあね」
「ところでお前ら何食ってんだ?」
「かごめちゃんが持って来たチョコってお菓子だよ」
「美味いのか?」
「凄く甘くて美味いぞ」
「ミ〜」
「へ〜。かごめ、チョコとやらをオレにもくれ」
「犬夜叉がいなかったから全部分けちゃったわよ」
「…じ〜」
と犬夜叉が他の3人と1匹の持っているチョコレイトを見る。
「!やらんぞ。オラの物じゃ」
「私も嫌だよ」
「私もです」
という3人の言葉に逆切れした犬夜叉は
「けっ、ならいらねえよ、そんなもん」
と言ってどこかにいってしまった。
「あ、犬夜叉!」
「行ってしまいましたね」
「まったくも〜犬夜叉ってば短気なんだから」
犬夜叉らしいといえばそうなんだけどね。
「仕方ないな〜捜して来るね」
「「「行ってらっしゃ〜い」」」
「犬夜叉、何してるの?」
「けっ、何でもねえよ」
「もしかしていじけてるの?」
「そんなんじゃねえ!」
「はぁ〜・・・あのね、犬夜叉。あれは冗談なんだよ」
「だったらなんでい」
「犬夜叉の分もあるって言ってるの」
「へっ?」
「しかもこっちは特別なんだから」
「何が特別なんでい」
「身構えないでよ。はいっ、コレ」
そう言うとかごめは鞄から綺麗にラッピングされたチョコの箱を取り出した。
「珊瑚達が食べてたのと違うじゃねえか」
「中身は同じだよ」
「そうなのか?」
「そうなの」
「へ〜」
そう言いながら犬夜叉はチョコを食べた。
「美味しい?」
「甘え」
「それはチョコだから。で、美味しい?」
「美味いんじゃねえか、多分」
「多分?多分ってどういう事よ」
「甘ったるくてイマイチ味がわからねえ」
「…そう」
「か、かごめ!」
「折角ママにも手伝ってもらって作ったのに」
「えっ」
「手づくりのチョコを犬夜叉に食べてもらいたくて頑張ったのに」
「か、かごめ…」
「…」
「泣いてるのか?」
「な…泣いてない…」
「泣いてるじゃねえか」
「泣いてないわよ、バカ」
「泣いてる」
「泣いてない」
「泣いてる」
「泣いてない」
「泣いて…」
「五月蝿い、おすわり!」
ドカッ
「いってえな!何しやがんで…!」
「バカ」
「なっ」
「馬鹿馬鹿犬夜叉のバカもう知らない!」
そう叫ぶとかごめはどこへともなく走って行った
「犬夜叉のバカ。何で私の気持ち分かってくれないのよ…分かる訳無いか。戦国時代にはバレンタインデーなんてある訳無いし
…犬夜叉に悪い事言っちゃったかな?」
でも・・・美味しいって言ってくれてもいいのに・・・・。
「つったく、かごめの奴どこまで行ったんだよ」
『犬夜叉に食べてもらいたくて頑張ったのに』
「かごめがオレの為に作ってくれたんだよな…。言い過ぎたかもな」
まぁ・・・美味かったのも事実だけど
・・・・微妙な味だったしな・・・・。
くんくん
「やっぱり家に帰ってやがる」
「あ、犬夜叉の兄ちゃん!」
「!な、なんでい。草太か」
「姉ちゃんならさっきどっかに行っちゃったよ」
「そ、そうか…」
「姉ちゃんに用でしょ?」
「お・・・おう」
「あら、犬夜叉君じゃない」
「おう」
「かごめにチョコ貰ったでしょう?」
「貰ったけど、あれは何なんだ」
「え−、犬夜叉の兄ちゃん知らないの?」
「しらねえ」
「バレンタインデーっていって女の子が好きな男の子にチョコをあげるんだよ」
「ちなみに次の月のホワイトデーには男の子がお返しをするのよ」
「ほ〜」
「かごめがあんなに一生懸命に作ったっていうのに肝心の犬夜叉君が知らないなんて」
「うっ」
「姉ちゃんかわいそう」
「ううっ」
「だからさっきのかごめ元気なかったのかしら?」
「…で、肝心のかごめはどこにいるんでい」
「姉ちゃんなら自分の部屋じゃない?」
「多分部屋にいるわよ」
「…わかった」
そう言うと犬夜叉は階段をのぼって行った。
「ママ」
「何?草太」
「犬夜叉の兄ちゃん大丈夫かな?」
「大丈夫でしょう」
「そうかな?」
「そうよ」
ガラッ
「かごめ!」
「何よ」
「…」
「何か用なの?」
「あのチョコってやつ…」
「まずかったんでしょ?いいわよ、いちいちそんな事言いに来なくても」
違う。こんな事が言いたいわけじゃないのに。
「違う」
「えっ」
「さ、さっきは悪かったな。かごめが作ったんだよな?」
「そうよ」
「オレの為に」
「だから、そうだって言ってるでしょ!」
「確かにあのチョコってやつはは甘かった」
「聞いた」
「でも嫌いじゃねえ」
「それって嫌いじゃないけど好きでもないってやつでしょ?」
「違う」
「何が違うっていうのよ!」
「だから…」
「だから?」
「だから…その…」
「はっきり言って」
「チョコってやつはあんまり好きじゃねえけど、かごめが作ったならいくらでも食ってやる!」
「えっ」
「悪かった」
犬夜叉が素直に謝るなんて…。
「かごめ?」
「じゃあ毎日チョコ作ったら食べてくれる?」
「ま…毎日?」
「冗談だよ」
「…」
「ねぇ、犬夜叉」
「何だよ」
「…何でもない」
「何だよ。言えよ」
「言わない」
「言えよ」
「言わない」
「何だよ」
犬夜叉、来年も再来年もその先もずっとチョコを渡すから絶対に受け取ってね。
2004,2,14
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