学生にとっては貴重な時間である昼休みにツナはリボーンに空き教室に呼び出された。
そして、リボーンは真剣な表情で喋りだす。
「ツナ、これからの戦いはファミリーとの絆の深さが試される」
「うん」
「お前はボンゴレの後継者だ。半端な覚悟じゃ務まらねぇし、死ぬ」
「ぅ、うん」
「だからお前はファミリーとの絆をもっと深めなきゃならねぇ」
「…うん」
「だから俺が色々調べた結果を教えてやる。しっかり聞けよ」
10/14 沢田綱吉と赤ん坊
どこからか取り出した紙の束を見ながらリボーンは喋りだした。
「まず獄寺だが、こいつはもう攻略済みだ。好感度も信頼度もメーター振り切ってやがる。まぁ、初めっからハッピーエンド
確定だったけどな」
「うん…攻略?」
聞きなれたような、そうでないような言葉にツナは首を傾げるものの、リボーンはそんなツナを無視して言葉を続ける。
「次に山本だが、好感度も信頼度も申し分ねぇ。ハッピーエンドも間近だな」
「ハッピーエンド?」
何のだよ!?と心の中でツナが突っ込む。
「笹川良平は好感度も信頼度も平均以上はいってるが、イマイチだ。京子次第じゃ転ぶぞ。気をつけろよ」
「うん」
「アホ牛は…いいな。まぁ、このままいけば問題ねぇだろ」
「ランボも調べてやれよ…」
「骸とクロームだが…」
ツナの言葉をあっさりと無視し、リボーンは言葉を続ける。
「クロームはともかく、骸には嫌われてるだろ」
「何言ってんだ?クロームより骸の方が好感度高ぇぞ」
「なっ!?」
「あいつは完全なツンデレだ。好感度は97だし、信頼度は80って所だな。あいつの部下を助けたのと、
骸を心配してるのが要因だな」
「そう…なのか…」
意外すぎる言葉にツナはそう答えるのが精一杯だった。
「クロームは好感度も信頼度も85って所だな。ちなみに、骸に対しては好感度も信頼度も100だ」
「それはわかるよ」
「だから骸達のことは問題じゃねえ。この場合問題なのは…ヒバリだ」
「…」
一番恐れていた名前が出た瞬間、ツナは思わずたじろぐ。
そんなツナを見逃すはずも無く、リボーンは瞬時にレオンを変化させて作ったハリセンでツナを叩いた。
「目をそらすな、現実を見ろ」
「痛っ!!そらしてないだろ!」
「そらしてるように見えた」
「…」
これ以上何を言っても無駄だと悟ったツナは大人しくリボーンに従うことに決めた。
短いながらも色々な経験を共にしてきたツナは、リボーンの性格を理解していた。
口でも、実力でも勝てないという事も。
大人しく聞く体制を取ったツナを見て満足げに笑うと、リボーンは話を再開した。
「ヒバリだが、好感度30、信頼度2ってとこだ。しかもこの好感度は全部興味からだ。酷ぇな」
「ならリボーンはどうなんだよ!?」
ツナの言葉にリボーンはニヤリと笑う。
「俺は好感度70、信頼度40ってとこだな。まぁ、俺に対しての好感度も全部興味からだけどな」
「…」
「わかったか、ヒバリとの絆は壊滅的だ。これからの戦いで必ずヒバリの力は必要だ。だからこれからはヒバリとの絆を
深めることが必要だ」
ヒバリさんの高感度って一体・・・と突っ込みたくなったツナだが、そんな事を言えばリボーンの鉄拳が飛んで来るのは
目に見えている。
ツナは無理矢理突っ込みを心の中に留めた。
「そんな事言ったって相手はあのヒバリさんだし…大体何だよ、好感度とか信頼度とか」
「ツナの好きなゲームに例えてわかりやすく説明してやってんだ。感謝しろ」
「いやいやいや、好感度とか信頼度とか無いから!」
ブンブンッと音が出そうなほど首を振りながらツナは否定する。
「あぁ、間違えた。ギャルゲーに例えると、だ」
「間違えんなよ!しかも俺がギャルゲー好きでやってるみたいじゃないか!」
「ぉ、真っ赤だな」
「リボーンっ!」
何故赤ん坊にこんな風にからかわれなければいけないのかと思いつつ、思春期の少年らしくギャルゲーという言葉に
過剰反応する。
そんなツナの肩をリボーンはポンッと叩いた。
「安心しろ、ツナ。ギャルゲーでも良い作品は山ほどあるからな」
「そんな事聞いてないから!」
「手始めにコレなんかどうだ?トキメキメモリーナイト」
「しまえ〜っ!!」
どこからかリボーンが取り出したパッケージには数人の女の子の絵が描かれていて、パッケージの隅の方に銀色に光るシールが
貼られている。
ツナはそれを視界にいれないようにしながらリボーンへと押し戻した。
「まぁ、冗談はこのくらいにしても、ヒバリとの絆は何とかしないといけねぇ」
「だから、相手はあのヒバリさんなんだから無理だよ」
やっとからかいが終わってホッとしたものの、ヒバリという言葉に別の意味で焦る。
「安心しろ。手っ取り早い方法がある」
「それはな…に…」
「言ってこい」
ドカッ
「うわっ!」
いきなりリボーンに蹴り飛ばされ、ツナは空き教室のドアを壊して廊下へと転がる。
「…」
「いつっ…リボーン、一体なに…する…」
「君こそ何?」
「ひ…ヒバリさんっ!」
蹴り飛ばされたツナを見下ろすように立っていた雲雀と視線が合い、ツナは恐怖の入り混じった声で雲雀の名前を呟くことしか
出来なかった。
「ヒバリ、ツナがヒバリと戦いたがってるぞ」
「り、リボーンっ!」
「へぇ、良いね」
リボーンの言葉にニヤリと笑い、雲雀がトンファーを構え、ギミックの棘まで出す。
「ひっ…」
「行け、ツナ」
後退りすようとするツナに向けてリボーンは銃を撃った。
ヒュッ
「っ…」
ビュッ
「速い…」
素早く繰り出されるトンファー攻撃を寸での所で避け、トンファーを掴んで固定する。
「君の力はこの程度かい?」
「ヒバリ…」
「なら、がっかりだな」
ドカッ
「ぐっ…」
ドォンッ
雲雀のトンファーをXグローブで掴んだ事で攻撃は出来ないだろうというツナの予想を裏切り、雲雀はツナの脇腹に素早く膝蹴りを
くらわせる。
雲雀に全くの手加減が無かった事に加え、ツナが油断していた事から、ツナは思いっきり蹴り飛ばされ、轟音と共に壁に叩き付け
られた。
「立ちなよ。本当にその程度の力なら生かしておく価値は無いよ」
「くっ…」
つまらなそうにツナを見下ろす雲雀をツナは見上げる。
その騒ぎを聞きつけ、生徒達が次々に集まってくる。
「何だ、何だ?」
「ヒバリ!?」
「ヒバリとツナが戦ってるぞ!?」
人が増えてきたことに雲雀は不機嫌さをあらわにする。
「もういいや。終わりにしよう」
「そうはいかない…」
「へぇ」
ツナの炎の量が増え、ふわりと浮き上がる。
そのツナの様子に雲雀は満足げに笑みを零し、再度トンファーを構えた。
「ヒバリ、ヒバリ」
「向こうに行ってなよ。ようやく本気が出せそうなんだから」
「ピィッ」
不意に喋りだした雲雀の愛鳥に指示を出しながらもその瞳はツナを見据えたまま。
「さぁ、来なよ。沢田綱吉」
「…」
ツナは無言で地面を蹴った。
「京子っ!」
「花。どうしたの?」
慌てて教室に入ってきた花を京子はいつも通りの笑顔で迎えた。
「沢田のやつ何したの?」
「ぇ?」
「ヒバリと戦ってんのよ。特別教室塔の廊下で・・・ぁ、京子っ!」
花が止めるのも聞かず、京子は特別塔へと急いで走っていた。
「やれば出来るじゃないか」
「…」
「甘いよ」
死ぬ気の炎を利用した高速移動で一瞬にして雲雀の背後に回ったものの、雲雀はツナの背後からの攻撃を簡単に避ける。
「君は確かに速いけど、僕には通じない」
「…」
「さぁ、次はどうするの?」
「…」
ツナが雲雀を見据えつつも、どうしようと考えていた時、よく知った声が廊下に響く。
「ツナ君っ!」
「!何故ここに…」
「…笹川京子か」
ツナは京子の突然の出現にも驚いたが、雲雀の反応にも驚いた。
そこで、以前京子が雲雀の事を恐れておらず、優しいと言った事、兄である良平を助けてもらったことがあると言っていた
のを思い出す。
「ヒバリ」
「何?まさか一時休戦とか言わないよね?そんなのしないよ」
「…わかってる」
「ならいいよ」
「…」
ツナの言おうとしていることを察し、ツナが言葉を発する前に雲雀が喋る。
それによってツナは自分の言葉を飲み込んだ。
その間にも雲雀の容赦の無い攻撃は続く。
ヒュッ
「くっ…」
「早く反撃しなよ」
「…」
「ピィッ」
「ぁ、ヒバリさんといつも一緒にいる…」
「!きょ…」
鳥の鳴き声と京子の言葉に反応し、ツナは戦いの最中でありながら視線を雲雀から外してしまう。
その事にムッとした雲雀がその日最大の力を込めてトンファーを振るい、ツナは長い廊下の隅にまで飛ばされた。
「ツナ君っ!」
壁に背中から叩きつけられ、苦しそうに呻くツナに京子が慌てて駆け寄る。
「殺る気が削がれた。君がここまで愚かだとは思わなかったよ」
「まて…ヒバリ…」
「煩い」
去り際に止めとばかりに動けないツナに攻撃を振るい、雲雀はそのまま歩く。
「ぐっ…」
「おいで」
「ピィッ」
「ぁ、鳥さん」
雲雀の言葉に反応し、雲雀の愛鳥が京子の肩から雲雀の肩に移動する。
「ヒバリ、ヒバリ」
「余計なことはしなくていいって言ったよね」
「ヒバリ、ヒバリ」
少し困ったように名前を呼ぶ愛鳥に雲雀は一度だけ溜息をつく。
「まぁ、良いよ。今日も並盛の平和は守られたからね」
動けないツナとツナを心配している京子、そして大勢の野次馬を残し、雲雀はその場を後にした。
2009.10.19
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