*設定の都合上、黒曜編に至っていないにもかかわらず、鳥が雲雀と行動を共にしています。
時間軸はジャンプSQに掲載された小説より少々前、良平が中学1年(確か)設定です。
雲雀がボクシング部の助っ人をする前の設定になります。
かなり設定が強引なので、許せる方だけどうぞ。
トンファーが風を切る。
その度に鳴る空気を切る音。
そして、それと同時に人が倒れていく。
トンファーの持ち主で並盛町の支配者、雲雀恭弥の手から繰り出される正確無比で、容赦など、全く無い攻撃によって。
8/26 笹川良平と笹川京子
最後の1人を地面に沈め、それを見計らったように雲雀の愛鳥が雲雀の頭の上にポスンと乗る。
雲雀は特に何かを言うでもなく、トンファーについた血を払おうとしたが、不意にその手を止めた。
「何か僕に用?」
倒れた屈強そうな面持ちの男達と雲雀以外はその場に人影は見当たらない。
しかし、雲雀の声は確信を含んでいた。
「流石だな、雲雀」
「笹川良平・・・その子は何?」
良平の隣にいる少女を見て雲雀は思わず呟くように聞いた。
「俺の妹で京子だ!!」
「妹?」
信じられないとでも言いたげに雲雀は京子を見る。
京子は丸く、大きな瞳を雲雀から逸らさない。
「・・・腹違い?」
「失礼だな!!正真正銘実の妹だ!!」
プンプンと怒る良平を無視し、雲雀は京子を見る。
雲雀には良平と京子が同じ親から生まれた実の兄妹だとはとても信じられなかった。
「お兄ちゃん」
「ん?あぁ。公園に行くんだったな。俺はこいつに用があるから。先に行けるか?」
「うん」
「僕は用なんて無いよ」
雲雀の言葉を笹川兄妹は見事に無視し、京子は公園へとかけていった。
「で、何?僕も暇じゃないんだけど」
欠伸をし、眠そうな目で雲雀は良平を見る。
「わかっている。雲雀、極限にボク・・・」
「ボクシング部には入らないよ」
「うぐ・・・先に言うとは失礼な奴だ!!」
「君はいつも同じ事を言ってるって自覚が無いの?」
「そんなの知らーん!!」
至極当然のように言葉を返され、雲雀は呆れたと同時に、これ以上何を言っても無駄なのだと悟る。
「・・・兎に角、僕はボクシング部には入らないよ。じゃぁね」
「どこへ行くんだ、雲雀っ!!」
「帰る」
具体的にどこにとは言わず、雲雀は良平に背を向けたままその場を離れた。
ガラッ
応接室のドアが開かれる音と同時に、雲雀は深い眠りから一瞬で意識を覚醒させた。
並盛中に応接室のドアを何の理由も無く無遠慮に開ける人間はいない。
風紀委員長の草壁ですら、ノックも無しで無遠慮に入ってくるなんて愚かな真似はしない。
それ故に、応接室のドアを開けた者は雲雀に対して恐怖を抱いていない者か、完全な愚か者である。
普段ならば瞬時に侵入者を咬み殺すのだが、雲雀はゆっくりとソファーから身を起こしただけだった。
「ぁ・・・あの・・・」
「・・・」
「テキ?ヒバリ、テキ?」
ビクッ
雲雀に射竦められていた侵入者は、雲雀の愛鳥の言葉に身体を震わせた。
「違うよ。おいで」
2言目は愛鳥に向けてか、侵入者に向けてかは雲雀以外わかるはずも無いが、愛鳥も、侵入者も自分への言葉と取り、雲雀
へと近づいた。
「ピィ」
定位置となった雲雀の肩へと愛鳥はとまり、侵入者はオドオドしながら雲雀の座るソファーと反対側のソファーに座った。
「・・・」
「ぁ・・・ぁの・・・」
「何?」
ビクッ
「ぁの・・・」
「・・・笹川京子だっけ?用があるなら早くして」
京子を見る事無く、雲雀は完結に言葉を放つ。
意を決したように京子は雲雀を見て、言った。
「お兄ちゃんを・・・助けてくださいっ!!」
「?」
「お兄ちゃん、怖い人に連れて行かれて・・・それで・・・」
「・・・」
「た・・・助けてください!!」
「・・・何で?」
「貴方がお兄ちゃんの友達だから」
「僕が笹川良平の友達?寝言は寝ながら言いなよ」
「ぇ・・・あの・・・」
雲雀の言葉は京子にとって予想外で、困ったように視線を彷徨わせた。
「まぁ、僕の並盛でふざけた事をしてくれた礼はしないとね」
「?」
雲雀はニヤリと笑い、ソファーから立ち上がるとドアへと向かった。
「案内して」
「はいっ!」
地面に倒れこむ良平を数人の男達が見下ろす。
良平よりも頭1つ分程大きいその男達は良平よりも年上だと一目でわかる。
「ぐぅぉ・・・」
必死に起き上がろうとするものの、負わされた怪我のせいか、うまく起き上がることが出来ない。
1人が良平に向かって上げた足を勢いよく落とす。
しかし、それが良平に当たることは無かった。
「君達、僕の並盛で暴れた挙句、僕の許可無く並中の生徒に手を出すなんて、僕への挑戦のつもり?」
小柄な雲雀より頭2〜3つ分も大きい男達に向かって雲雀は言う。
勿論、トンファーで良平への攻撃を受け止めたまま。
「何だ、お前?」
「こいつ、並中の雲雀恭弥じゃないか?」
「へぇ、僕の事を知ってるのに、暴れるなんて、いい度胸だね」
「雲雀・・・何故?」
「君の妹が僕に言いに来たんだよ」
「京子が・・・」
「君はそこで寝ていれば良い。こいつらは僕が・・・咬み殺す」
仕込み鉤を出し、臨戦態勢になった雲雀から溢れ出る殺気に男達はたじろぐが、年長者の意地で何とか踏みとどまる。
「中坊がなめんなよ」
「怪我したって知らねぇからな」
「君達がね」
その言葉が癇に障った男達は一斉に雲雀に襲い掛かるが、雲雀は器用にそれを避け、トンファーを振るう。
トンファーは見事に1人の脇腹に当たり、地に沈める。
次々と向かってくる男達をまるで舞うように綺麗に倒していく。
「いてっ!この鳥めっ!!」
「!」
不意に背後から聞こえた声に雲雀が振り返ると、雲雀の直ぐ後ろにいる男を愛鳥が必死に突っついていた。
男の手には鉄パイプのようなものが握られており、背後から雲雀を狙おうとしていたことは明白だった。
その事に気づかなかったことに内心で自らを叱咤し、雲雀は素早く男の首に一撃を入れた。
「ピィ!」
「・・・」
「ヒバリ、ヘイキ?」
まるで雲雀を心配するように首を傾げ、尋ねてくる愛鳥を指先に止まらせ、雲雀は無言のまま歩き出す。
「ひ・・・雲雀・・・助かった・・・」
「僕は君を助けたわけじゃない、並盛の風紀を乱す奴らを掃除しただけだ」
「だが、俺が助かったのは事実だ」
「・・・好きにしなよ」
「あぁ」
未だにうまく動けない良平をその場に残し、雲雀はその場を後にする。
並中への帰り道、夕日で赤く染まった街を見ながら、雲雀は呟いた。
「今日も並盛の平和は守られた」
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