「今日も相変わらずダメダメな一日だったなぁ。はぁ…ゲームでもしよう」
相変わらずの駄目っぷりを学校でさらし、ぐったりとしたツナが独り言を呟きながら部屋のドアを開けた。
「お久しぶりです、ボンゴレ」
「…」
本来そこにいるはずの無い(いてほしくもない)人間の姿を見つけると、ツナは無言でドアを閉めた。
すると、今度はドアが内側から開かれた。
「いきなりドアを閉めるなんてあんまりですよ」
「骸、何でお前が俺の部屋にいるんだよ!!」
部屋にいた人物、六道骸はいるのが当然という顔をしているが、部屋の主であるツナはたまったものではない。
「決まってるじゃありませんか。君がプレゼントをくれないから催促しに来たんです」
「はぁ!?」
「今日は僕の誕生日ですからね」
「へぇ…」
「さぁボンゴレ。何をくれますか?」
満面の笑みで手を差し出す骸に呆れの眼差しをツナは向ける。
勿論そんなものに何かを思う骸ではない。
「…ちょっと待ってろ」
ツナはそれだけ言い残すと部屋から出て行った。
6/9 六道骸と沢田綱吉
「はい」
「何ですか、コレ」
「見ればわかるだろ。昨日母さんがもらってきたんだよ」
手渡された物を骸はマジマジと見る。
「僕には何も見えません」
「はぁ?よく見ろよ。ほらコレ…無い!!どこにやったんだよ!!」
「嫌ですねボンゴレ。パイナップルなんて元からありませんよ。白昼夢ですか?」
いつの間にか骸の手からパイナップルは消えていた。
飄々と自分は全く知らないという態度をとる骸をツナは睨みながら言った。
「俺パイナップルなんて言ってないけどね」
「…幻聴ですよ」
「あぁ、もういいよ!お前の頭にあるしね!」
ビシッとツナは骸の頭の上に見える髪の毛を指差し、言った。
「…僕の髪型はパイナップルなどではありませんよ。それよりボンゴレ、プレゼント無いんですね」
「さっき渡しただろ!」
「見えませんでした」
「…」
不毛なやり取りだとツナは頭ではわかっていた。
それでも、自分はプレゼントを渡したという確固たる自信のあるツナは引かない。
「プレゼントが無いならボンゴレを貰います」
「は!?ふざけるな」
「僕はいたって真面目ですよ」
「お前は存在からふざけてるだろ」
「失礼な人ですね」
「お前に言われたくないよ」
「仕方ありませんね」
無茶苦茶な事を言いながらじりじりと迫ってくる骸に、ツナは思わず後ずさりする。
「…」
「さぁボンゴレ、大人しく僕のものになりなさい」
「…」
「さぁ」
じりじり
「…」
「さぁ!」
「…」
ツナは一回眼を閉じ、ゆっくりと開けて骸を見据えた。
そして、スッと手を握ったまま胸の辺りに持ち上げた。
「何です?」
「…」
骸の言葉には答えず、ツナは何かを口に入れた。
途端にツナの額に死ぬ気の炎が灯る。
「特殊弾と同じ効果…なるほど。それが特殊丸というやつですか」
骸は驚きつつも冷静にツナを観察し、言った。
「よく知ってるな」
「情報は大切ですよ。さて…」
骸はそこで一旦言葉を切り、特有の武器である三叉槍をどこからか取り出した。
「…」
「君がその気なら僕もやりましょうか」
「かかってこい」
ツナもいつの間にかXグローブを装着し、構えた。
「クフフ」
「…」
「ほぅ。以前戦った時より格段に戦闘レベルが上がってます…ね!」
「当たり前だ」
骸の攻撃をかわし、自身も攻撃をしかけながらツナが答える。
「嬉しいかぎりですよ。君の力は強い方がいい。その方が君の身体を手に入れたときに便利ですからね」
「まだそんなこと考えてたのか?」
「当然です。そろそろいきますよ。畜生道」
骸の右眼の数字が変わり、ボトッという音と共に巨大な蛇がツナの目の前に現われた。
「…」
「南国に生息する巨大毒蛇です。毒は勿論人間にも効きますよ」
「…」
鎌首をもたげ、蛇がツナに巻きつく。
「さぁ、どうしますか?」
「…」
ツナは無言で蛇を殴りつける。
一撃で蛇はやられ、その場に倒れた。
「酷いですね。動物虐待ですよ」
クフクフと笑いながら骸が言う。
蛇がツナに敵わない事は百も承知だった。
「そう思うならけしかけるな」
「クフッ。君には幻術も効きませんしね…なら、勝敗を決めるのは純粋な…強さ!」
「!」
一瞬のうちに距離を詰め、振り下ろされた槍をツナはグローブで受け止める。
お互い一歩も引かず、力を込めるが、不意にツナが身体を捻る。
力を入れていた骸は一瞬だけ隙を作ってしまい、その隙にツナは骸の腕を掴むと、開け放たれていた窓から骸を外に投げた。
空中で身体を捻り、骸は綺麗に地面へと着地する。
それを見届けたツナは窓枠に足をかけ、外へととんだ。
「何のまねですか?」
「部屋で暴れると怒られるからな」
骸と少し離れた位置に飛び降りたツナが答えた。
「…戦いの最中に部屋の心配ですか?君は相変わらずですね」
「骸」
「僕は君のそういうところは嫌いですよ」
「…」
ドスッ
「っ…」
ツナが反応する前に骸は槍をツナの服越しに心臓に当てる。
「沢田綱吉、君は甘い」
「…」
「君は甘過ぎる」
ツナは骸の槍をはらい、後ろへと飛んで骸との距離をとる。
「お前には関係無い」
「…」
「骸」
「今、思いっきり顔を狙いましたね?」
「は?」
槍をはらったのは事実だが、ツナは骸への攻撃はしていなかった。
顔を狙ってなんているはずがない。
それでも骸は言葉を続ける。
「顔に傷がついたらどうしてくれるんですか!?大事な商売道具なんですよ!!」
「お前はホストか?違うだろ?」
完全に毒気も戦う気も失せたツナは骸を見ながら冷めたように言った。
「嫌ですね、ボンゴレ。僕ほど紳士なホストなんているわけないじゃないですか。僕がホストをやれば世界一のホストに
なれますよ!!」
「良かったな。それで金稼いで大人しくしててくれ」
もうどうでもいいと投げやりにツナは返事を返す。
「嫌です。ですが、この顔は女性受けが良いので情報を得るのに都合がいいですよ」
「お前…」
聞きたくも無い事をつらつらと骸は喋る。
しかし、骸がツナの隙を狙っている事はツナにはわかっていた。
「はぁ…」
ツナが溜息をつくと、同時に骸は腕を伸ばした。
それをよけ、ツナは骸の頭を掴む。
「っ…」
嫌な音と共に骸が地面へと倒れた。
「…」
「ぐっ…」
骸は起き上がろうとするが、うまく腕に力が入らない。
「無駄だ。関節を外した。幻でも動けない」
「…止めはささない…ですか?本当に君は甘い」
ツナを見上げるように骸は言った。
逆光でツナの表情を骸は見ることが出来なかった。
「放置プレイですか。まったくボンゴレもやってくれる…。関節を見事に外すなんて。仕方ありませんね。今回は…ん?」
ツナが立ち去り、骸が独り言を呟く。
実体化を解いてその場から立ち去ろうとした時、骸は見知った顔を見つけた。
「奇遇だね。こんな所で会うなんて」
黒い学ランを翻し、肩に鳥を乗せた並盛最強の不良であり、並盛中の風紀委員長である雲雀がそこにいた。
「雲雀恭弥。なぜここに?」
「案内されてね」
雲雀は言いながら肩にとまっている鳥を軽くつついた。
「バーズの鳥…」
「今は僕のだ」
「クフフ。君に小動物を可愛がる心があったなんて意外ですね」
「…」
眉をよせ、雲雀は骸を睨みつけたが、直ぐにニヤリと笑って言った。
「何です?」
「動けないんだ」
「…」
「関節、外されたんだって?」
さも楽しそうに雲雀は言う。
「盗み聞きですか。趣味が悪いですね」
「君が気付かなかっただけでしょ。沢田綱吉は気付いてたよ」
「…」
雲雀の言葉に今度は骸が雲雀を睨みつけた。
それを見下ろし、雲雀はトンファーを構えた。
「さぁ、死になよ」
倒れている骸を踏みつけ、雲雀はトンファーを軽く振るった。
「ピイッ」
雲雀の肩にいる鳥が一鳴きし、羽をばたつかせ、再度雲雀の肩に乗った。
「これで今日も並盛の平和は守られた」
誰にともなく、雲雀は言った。
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