seekret fight and seekret life


「あの戦いで狂は消えてしまった。ゆやさんも悲しいはずなのに、無理して明るく振舞っている。
ゆやさんは強いね・・・」

「ええ、でもとても悲しそう・・・」

「朔夜」

「はい?」

「狂がいなくなったこんな時に言う事じゃないかもしれないけど、聞いてほしい。僕は言ったよね?
貧しくても二人で暮らして、たまに狂がやって来て・・・」

「えぇ」

「僕はね、当代紅の王とチンメイによって生かされた。そして彼らの分まで生きなきゃいけない」

「はい」

「朔夜、春には庭の桜を愛でよう。夏には小川で涼もう。秋には共に月を見よう。
冬には昔のように大きな雪だるまを作ろう」

「・・・」

「朔夜、共に生きよう」

「はい・・・」


「ふんふんふ〜ん」

「今日江戸に帰るんだろ?」

「そうだよ。サスケはここにいたい?」

「別に。何で江戸なんだ?幸村は本来九度山に・・・」

「壬生一族に潜入しているとき、僕は僕の未来を少しだけ知った」

「なっ・・・」

「だから僕は江戸に行かないといけないんだ。サスケは好きに生きて良いんだよ?」

「馬鹿にすんな!!俺は真田十勇士のサスケだ!!俺の主は幸村、あんただけだ!!」

「・・・」

「あの日から・・・俺はお前の為に生きると決めたんだ」

「ありがとう、サスケ」


「はぁぁぁぁ、嫌やなぁ」

「嫌でも帰っていただきます、秀忠様」

「真尋・・・」

「家康様は貴方様を次の将軍に決められました。ですから城にお戻りください」

「せやかてなぁ」

「秀忠様」

「そんなに睨まんでもええやないか。まぁ、いつかはこんな日が来るとわかってたんやけどな」

「・・・」

「はぁ、しゃぁない、タヌキ親父の顔でも拝みに行くか」


「ふぅ・・・長かった私の仕事もこれで終わりですわね。狂さん、私は信じていますわ。
貴方は必ずどこかで生きていると。だから早く私達の前に現れてくださいな、狂さん・・・」


「長かったな」

「やっと終わりましたね」

「これも私のおかげね」

「そうですか?」

「私のおかげっつってんだろうがぁ」

「くっ・・・いつか殺す」

「いいわよん。そんな事したら秘密バラすけどね」

「ひ・・・卑怯ですよ!」

「聞こえな〜い」

「くっ・・・」

「お前らこの後どうするんだ?」

「灯ちゃんはぁ、狂のお嫁さんになるために花嫁修業〜。狂が帰ってきたら直ぐに結婚できるように
しておかなくちゃ!それと・・・壬生一族の力になりたいと思う。ひしぎがくれたこの記憶でね」

「私は狂に勝つために更なる修行です」

「俺は・・・・・・?」

「ほたるは何も考えてねぇんだな」

「梵は?」

「俺様は一度家に帰るぜ」

「家に・・・ですか」

「あぁ」

「今回は家康との共闘みたいになっちまったが、家康は敵だからな。俺はあいつの首をとってやんぜ!!」

「ふ〜ん」

「ほたる、本当に貴方はどうするんですか?」

「俺?う〜ん・・・」


「遊庵様」

「お〜辰伶」

「遊庵様は壬生に戻るのですか?」

「あぁ。ひしぎも吹雪も紅の王もいないからな。俺と時人が何とかしないとな」

「私も・・・」

「?」

「私も一緒に行って構いませんか?」

「構わねぇけどけ・・・ほたるはどうするんだ?」

「あいつはあいつ、私は私です」

ニッ

「そうかよ。じゃぁ手伝いやがれ」

「はい!」


「村正さん、見ていますか?すべての戦いは終わり、壬生も再興し始め、私たちは別の道を歩むことになりました。 でも、皆と旅した記憶は一生のもので、私たちが仲間だということは変わりません。
・・・村正さん、私誤解していたんです。狂のこと、壬生一族のこと、紅の王のこと・・・沢山の事を誤解したまま
生きていたんです。望兄様のこともわかっていたようでわかっていなかった。でもわかったんです、沢山の事を。
狂や、村正さんや、皆が教えてくれたんです。だから、私は信じてるんです。狂は必ずどこかに生きてるって。
絶対に探し出すって決めたんです!」

『ゆやさん・・・あの子を宜しくお願いします』

「村正・・・さん?・・・はい!」



関が原の戦いから4年。

神の一族と呼ばれていた壬生一族の紅の王は、その壬生一族の最後の子供・・・ 鬼眼の狂と呼ばれる者とその仲間たちによって倒された。

紅の王が倒された事によって、天下は徳川のものとなった。

その戦いを知る者は少ない。

今を平穏に生きていられるのは誰のおかげかを知る者は少ない。

そして、鬼眼の狂の行方は誰にもわからない。

しかし仲間たちは信じて待ち続ける。

自分達に平穏と道しるべを残した鬼眼の狂という存在を。



関が原の戦いから7年。

歴史に刻まれる事のなかった壬生一族との戦いから3年後。


「聞こえてたぜ、ずっと。お前が・・・・お前達が俺を呼ぶ声が」

「・・・・」

「・・・・待たせたな」

「狂ォー!!」


得たいも知れず、本名も持たぬ侍の中の侍、鬼眼の狂。

長い戦いに終止符を打ち、天下に平穏をもたらした鬼眼の狂。

3年という時を超えてもその瞳は真紅に輝き、その生き様は烈火のごとく。

その後の鬼眼の狂とその仲間達の行方を知る者はほとんどいない。

しかし、確かにそこに彼らは存在した。

強い想いを持った本当の侍と、彼らを支えつづけた存在が・・・。


2006.5.11