いつかこの日が来る事はわかっていたの。


終わりと始まり


戦国時代で奈落や妖怪達と戦って、いつの間にかそれが当たり前みたいになっていたけど、元々私は普通の中学3年生なの。

高校受験で悩んだり、友達と放課後に寄り道して帰ったり、たまには好きな男の子の事で盛り上がったり・・・それが私の 日常のはずだった。

四魂の玉が私の中から現われるまでは。


戦国時代にタイムスリップしてしまった私は犬夜叉と出会い、弥勒様と出会い、珊瑚ちゃんと出会い、七宝ちゃん、殺生丸、りんちゃん、 琥珀君、楓お婆ちゃん、鋼牙君、桔梗、もっともっと沢山の人と出会った。

私は桔梗の生まれ変わりだけど、私は桔梗とは違う。

四魂の玉を滅ぼすとか、沢山の人を助けてあげなくちゃとか、そんな事は思えない。

でも、奈落だけは許す事はできない。

桔梗と犬夜叉を罠にかけて憎しみ合わせて殺して、生き返った桔梗もまた殺した。

私達を殺そうとして沢山の人を操り、殺した。

私は絶対に奈落を許せない。

だから決めたの。

絶対に奈落を倒すって。

でも今日は・・・今だけは・・・


「合格!?合格したの!!」

「補欠だけどね」

「合格は合格じゃ」

「私って天才かも!!」

落ちているとばかり思っていた高校が受かっていた。

私は高校生になれるんだ!!

「さぁかごめ、早くご飯食べちゃいなさい。遅刻なんてできないわよ」

「は〜い」

今日は卒業式。

中学生最後の日。

「いってきま〜す」

「「「いってらっしゃ〜い」」」

ママとじいちゃんと草太の返事を聞きながら私は学校へと向かった。


「みんな受かってたんだ」

「かごめの方こそ心配したんだよ」

「学校ほとんど来てなかったじゃん」

「でも受かったよ!」

皆が口々にどうやったんだ〜とか、今日来て平気なの?とか聞いてくる。

それに元気だから平気と答えていたら北条君がやって来た。

「日暮」

「北条君」

北条君と会うのも随分久しぶり。

何か、前に見たときよりも背が伸びた気がする。

中学、高校時代の男の子って成長が早いって言うしね。

そういえば犬夜叉も出会った頃より身長が伸びた気がするなぁ。

「高校はわかれちゃったけど、これからも友達でいてくれる?」

「うん、ずっと友達だよ」

北条君と握手をして、分かれる。

もう健康グッズを貰う事も無いね。

あのグッズはじいちゃんが有り難く使ってるよ。

『卒業式を始めますので、生徒の皆さんは準備に入ってください』

校内放送が流れると急に教室が騒がしくなる。

皆、緊張してるみたいだった。

私なんか予行練習にも出てないんだった!!

うん、何とかなるよね。

周りを見て同じことをすればいいんだし!!

自分に言い聞かせて私は整列して体育館へと進んだ。


何の変哲も無い2年間を過ごし、残りの1年間は戦国時代とこっちを行ったりきたりしてあまり学校には来ていなかった。

それでもこの学校での思い出は沢山ある。

犬夜叉がバレーのボールを壊したり、学校まで迎えに来てくれたり、皆で肝試しをしてみたり、文化祭や体育祭、マラソンなんかも やったりした。

楽しかった思い出が溢れてくる。

あぁ、私は今日卒業するんだ。

そう思ったらとても悲しくなって、思わず泣いてしまった。

私と同じようにないてしまっている子も大勢いた。

涙は止めようと思っても止まってくれなかった。


「せめてお祝いの料理を食べてから行けばいいのに」

ママの優しい言葉を皆がまってるからと断る。

これ以上家にいたらきっと私は負けてしまう。

「帰って気たらお祝いちょうだいね」

明るく言ったらじいちゃんが干物を出してきたから、それは断った。

「かごめ」

「何?」

ぎゅっとママに抱きしめられる。

「よくがんばったわね」

「・・・」

その言葉に涙が出そうになったけど、それを必死に堪えた。

泣いたら駄目。

泣いたら私は挫けてしまう。

泣いたらこの決意は消えてしまう。

「ねぇちゃん」

「かごめ」

「ありがとう。行ってきます」

それ以上そこにいる事が出来なくて、私は井戸を潜った。


本当はずっとわかっていた。

いつかこの日が来る事を。

でもそれを否定したい気持ちもあった。

でも、桔梗がいない今、それをやるのは私の役目。

霊力が封印されて、戦いの中で私は一番足手まといかもしれない。

それでも、戦うって決めた。

犬夜叉の助けになるって。

犬夜叉を四魂の玉へと導くって。

奈落との戦いは今までもとても辛いものだった。

完成された四魂の玉を持っている奈落との戦いはもっと辛いものになる。

正直、無事で済むとは思っていない。

だから逃げ出したかった。

安全な現代にいて、逃げてしまえばよかった。

うぅん、でもきっとそれは出来なかった。

私は犬夜叉が好き。

一番好き。

犬夜叉にはもう憎しみや悲しみを背負って生きてほしくない。

全てを終わらせるために、私は犬夜叉達と共に戦う。

そして、全てが終わったら、私は・・・


「ただいま〜」

「かごめ」

「かごめちゃん」

「かごめ様」

「かごめぇ〜」

「ただいま、みんな」


全てが終わったら、私は・・・


2007,11,15