*よろしく・マスター という少女漫画の設定を一部利用してます。

臨也=サンタ 静雄=トナカイ ですのでご注意ください。

















「トナカイになれ」

俺の一言で目の前のシズちゃんは巨大なトナカイに変身する。

今日はクリスマス。

俺の面倒な仕事の日だ。


サンタとトナカイ


俺とシズちゃんの出会いは高校に入ってすぐ。

お互いがお互いを嫌悪し、出会う度の喧嘩・・・になるはずだった。

いや、実際にはなった。

ただ1つの問題を除いて。

「早くしろ」

「わかってるよ」

白く大きな袋と地図を持ち、シズちゃんの引くソリに乗る。

するとソリは空高く浮かんでいく。

「何度乗っても慣れないねぇ」

「安心しろ。プレゼントを配り終わるまでは落さねぇよ」

「それはどうも」

サンタの俺とトナカイのシズちゃん。

シズちゃんはトナカイの家系で、主人であるサンタが生まれた時から決められているらしい。

その主人が誰だかはわからないけど、肌に触れると手綱が現れる。

俺とシズちゃんの手が初めて触れた日、確かに赤い手綱が現れた。

唖然とする俺と、怒りと落胆と、様々な感情が入り混じった表情をしたシズちゃん。

そんなシズちゃんは俺を路地裏に連れ込み、あろうことかキスをしてきた。

俺の、唇に。

後々知ったことだが、トナカイはサンタの命令に絶対服従なんだそうだ。

そして、その服従関係はキスで解消される。

だからシズちゃんは俺がそれに気付き、変な命令をする前にとキスをした。

早く知ってれば面白い命令が色々出来たのに残念でたまらない。

そんな俺たちだけど、シズちゃんがトナカイで、俺がサンタなのは変えようもない事実らしく、年に1度、クリスマスの日にプレゼンとを配らないといけない。

俺と、シズちゃんで。

もちろん俺は断固拒否したけど、幽君どころか新羅やドタチンまで巻き込んで大事になり、クリスマスを含めた前後1週間にシズちゃんが俺を攻撃しないという条件で引き受けた。

ちなみに幽君のサンタは聖辺ルリだそうだ。

交換してほしいと言ったが、トナカイとサンタの入れ替えは不可能なのだと言われてしまった・・・。

まぁ、そんなわけで年に1週間の完全な安息の為に俺は今日もサンタをやっている。


「はい、終了」

「あぁ」

「わかってるよね、シズちゃん?」

「わかってるよ」

チッと舌打ちしてシズちゃんが答える。

舌打ちしたいのは俺だって同じだよ。

「じゃぁね」

俺の今年の安息は残り3日。

大寒波なんて言われてるけど、カフェで人間観察なら寒くない。

とりあえず今は朝だし、疲れたからゆっくり寝て、昼過ぎから何をするのか考えよう。

楽しみだなぁ、楽しみだな!!

「臨也」

そんな俺の思考を打ち消すように名前を呼ばれ、腕を引かれる。

普段なら一瞬でナイフを構えるけれど、今はそれはしない。

シズちゃんは約束を破らない。

相手が破らない限り。

俺は約束通りサンタの仕事をこなした。

だからシズちゃんもあと3日は俺に危害を加えない。

「何?」

「やる」

首に巻きつけられたのは赤いマフラー。

ぇ?

何、コレ?

「な、に?」

「お前気付いてねぇのか?さっきからずっと震えてんぞ」

「ぅそ・・・」

気付かなかった。

「さっさと新宿帰れよ」

そう言うとシズちゃんは煙草を吸いながら歩いて行ってしまう。

「なん、なの?」

マフラーを巻かれた首が異様に熱く感じて、俺はその場に立ち尽くした。







2012.13.25